相 続 Q&A3 寄与分

           

相続についての法律手続やよくあるトラブルや疑問に具体事例を用いてわかりやすく解説します。

被相続人の財産の維持増加に貢献した相続人の貢献を考慮して相続財産を公平に相続人に取得させる制度が「寄与分」です。

民法904条の2で定められています。

「寄与分」に関してわかりやすく解説します。

相続Q&A>Q&A3

           

 

 Q3 

私(A子)の父が亡くなりました。
相続人は私と弟(B)です。
父は生前寝たきりだったので、5年間介護をしてきました。
私は職を辞めたうえで実家に転居をして無償で介護をしてきた次第
です。
しかるに弟は、「姉さんは実家で家賃相当額を支払わず、無償で居
住していて利益を享受しているのだから相殺して貴方の貢献はゼロ
だ」と主張します。
自分は親の世話もしないで私一人に押し付けておきながら何と勝手
ないいぶんだと憤慨しています。

 

           

A3

民法では904条の2で「寄与分」が定められています。

寄与分とは被相続人の事業に関する労務の提供、又は財産上の給付、被相続人の療養看護その他の方法により、被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした者に対して貢献度に応じて相続分を取得させることにより相続人間の公平を図る制度です。

A子さんの場合、被相続人の介護が上記の「療養看護」により被相続人の財産の維持、増加に貢献したかが問題となります。

民法が定める「特別の寄与」(のうち療養看護について)とは親子間における民法上の扶養義務の範囲を超える貢献をした場合と解釈されています。

例えば、子が親の面倒をみることが通常の親子間の扶養義務の範囲内であれば「特別の寄与」とはならないことになります。

裁判では、介護の無償性や専従性が考慮されます。

介護をすることで、金銭を被相続人から支給されていたのでは、財産の維持増加に貢献しているといえません。

また、月に数度とか週に1度とかの介護であれば、介護に専従したとはいえず、特別の寄与といえるのか疑問です。

弟さんの主張するA子さんの居住することについて無償であることの対価的な利益が存在するかどうかについて考えます。

例えば、A子さんが父親の自宅に同居する時点までに、借家で賃料を支払っていたとした場合、父親と同居することにより、家賃相当分の支払いを免れたとして反射的利益が発生するといえなくもありません。

しかし、家賃を浮かす為に同居したわけでなく介護目的のために職を辞し同居しているわけですから、A子さんについても収入が無くなる損失を被っています。

単純に 利益があるので、「(利益を得ているので)介護が無償にあたらない」と言う主張は果たして公正といえるか?とも考えられます。

裁判では、個別具体的に状況を考慮して、介護の無償性や専従性を判断します。

判例では、「特別の寄与」が認められると判断された場合は、適正とされる1日あたりの介護費用を定めて(その場合、夜間や深夜に介護した場合等の割増費用も考慮されます)期間で算定され具体的な金額が示されます。

特別の寄与(寄与分)が認定された場合の算定の方法です。

例えば、A子さんの父親が1000万円の遺産を遺したとします。

法定相続分はA子さんと弟の相続分は1/2づつなので、500万円づつとなりますが、 A子さんに対して寄与分が250万円認められたとします。

まず、1000万円から250万円を控除した金額である750万円が相続財産の金額となります。

750万円の1/2である375万円が弟の相続分となり、375万円に寄与分の250万円を加算した625万円がA子さんの相続分となります。

寄与分についてのご相談は当事務所問い合わせまでご相談下さい。

           

相続とは

相続とは、亡くなった方(被相続人といいます)の財産や権利・義務について承継することです。

財産等を承継する人(相続人といいます)は、民法で定められています。

被相続人の一身に専属したものは相続財産に含まれません(民法896条)

相続において(場合によって)必要となる各種法律手続や用語については「相続手続」をご覧下さい。

相続の流れについては「相続の流れ」をご覧下さい。

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