[消滅時効Q&A12
判決確定後の消滅時効の更新]

 

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   消滅時効Q&A12 
判決確定後の消滅時効の更新

消滅時効に対してよくある質問をQ&A形式でわかりやすく解説します。

      

Q12

私は、貸金業者から借金があり、債務について裁判手続きで(貸金を払えという)判決が出され確定しました。

確定してから、債権者に返済(弁済)をしましたが、最後に返済をしたのは確定してから3年後です。

最後に返済をしてから、5年以上経過しましたが判決が確定してから10年は経過していません
「消滅時効の援用」はできますか?

また、判決が確定して10年以上経過後に弁済をした場合で最後の弁済から5年以上経過した場合、「消滅時効の援用」はできますか?

A12

 

判決確定後10年内(時効完成前)に時効の更新があった場合

時効援用までの経緯~流れ~

判決の確定
時系列に添って、消滅時効の期間を見ていきましょう。

「判決の確定」

自分の債務に関して、債権者から訴訟を提起されて、判決が出され確定した場合、消滅時効の期間は確定した日から10年となります。(民法169条)

弁済

本来、貸金の消滅時効で債権者が会社の場合は、時効期間は新法(改正民法)でも同様に5年となります。(会社は権利を行使することができる時を管理しているのが通常である→民法166条1項 「権利を行使することができることを知った時から5年間」)

弁済は、消滅時効の更新(旧法での中断)事由に該当します。

そして、設問における債権の消滅時効は5年であるので、通常は更新時から5年経過時に消滅時効が完成するはずです。

時効の完成

しかし、ここで特別な事象として、「判決が確定している」ということがあります。

判決が確定後「時効の更新」があった。更新から5年以上経過した。

時効は完成しているといえるのでしょうか?
結論からいうと、「完成していません(援用できません)」

1つは、判決が確定してから10年が経過していないので、民法169条に照らして、「時効は完成」しているとはいえません。

2つめは、判決確定後の時効期間は、5年と考えて良いのだろうか?という点です。
民法169条に該当する事象(判決等の確定後の時効期間が10年であること)の場合に、時効が更新した場合、5年となるのか、違うのか?

結論を言うと、この点に関しては、法律の条文には適応する条項はなく、また最高裁での判断は(現時点で)示されていません。
ただし、地裁(地方裁判所)の判断がなされており、現時点では、その判決趣旨を一つのメルクマール(指標)と考えることができます。

当該判決の事件の事例は、判決確定後10年が経過する前に「弁済」があり、また10年経過後に「弁済」があったものです。

時効の完成時点について、地裁の判断(判決)は、「更新の時点」から10年としたものです。

判決で確定した権利は、公に確定するものであり、又10年と定められている権利を「更新」の種類により、10年より短い期間にするのは、債権者の保護に欠けると考えられたと思われます。

判決確定後10年超経過時(時効完成後)に時効の更新があった場合

そして2つ目の質問についての説明ですが、判決確定後10年以上経過後に弁済をした場合

このケースは1「判決確定後から10年が経過する前に弁済をしていて、その時点(複数回弁済がある場合、最後の弁済時)から10年が経過する前に弁済をした場合」及び・・・

2「判決確定後から10年が経過した後に初めて弁済をしていた場合」に分けて考えましょう。

ケース1の場合

1のケースの場合、(時効完成前の)最初の弁済で「時効の更新」となります。その時点から10年で時効が完成します。
そして、その10年以内に弁済をした場合は、その時点からさらなる「更新」となります。

そしてこのケースの場合で、仮に最後の弁済から10年以上が経過していて、(その場合は、判決確定後からも10年以上経過していることになる)弁済をした場合は、「時効の更新」とはならず、「時効完成後の弁済」となり、もう時効の援用の主張が認められなくなる可能性があります。
Q7を参照してください)

ケース2の場合

2のケースの場合、1のケース後半説明と同様であり、消滅時効完成後の弁済(=債務承認→時効の更新)ですから、最後の弁済から10年経過していても消滅時効の援用をすることはできなくなる可能性があります。

※ 上記説明(回答)の消滅時効の完成・援用の見解については、判例において、今後異なる見解が同レベル(地裁)裁判所又は上級審(高裁以上)で出された場合、消滅時効の期間や援用のタイミングが変更となる可能性はあります。現時点での見解となります。

消滅時効の正確な起算点は下記を参照ください。

下記の説明は、旧法(旧民法)での説明がベースになっています。(新法施行時(令和2年4月1日)より前に借りた金銭の消滅時効については、旧法が適用されます。(根拠法令 根拠条項 民法の一部を改正する法律附則10条 1項、4項)

原則、貸付け金の請求権の消滅時効の起算点は、支払期日(正確にはその翌日)となります。

リボルビング取引の場合には、「期限の利益喪失(貸付金を一括で返済しなければならなくなること)の日」を定めている場合が多く、その期日の翌日が消滅時効の起算点となります。

※リボルビング取引とは予め締結する基本契約(包括契約)において、貸付金利、貸付限度額、返済方式等の基本事項を定めておき、それに従って、借入と 返済を繰り返す貸付形態

もし、5年以上借入も返済もしていない場合で、貸金業者から、請求されたり、訴訟を提起されたりした場合は、お気軽に当事務所にご相談ください。

消滅時効が完成している場合は、消滅時効を援用 することにより、(簡単に言うと)借金が無くなるということになります。 {貸金業者が自ら有する債権(貸金を請求する権利)の権利を行使できなくなるということになります}

※個人間の貸借のように「商人や会社でない者が双方当事者となる貸借」の場合は民事債権となり、消滅時効期間は10年となります。(旧法 民法167条)

※ 信用金庫、信用組合、農協、漁協、商工中金、労働金庫等は会社や商人
 ではなく「非営利法人」ですので、原則消滅時効の期間は10年となります。
 但し、債務者が個人事業主や中小企業で借り入れ目的が「事業資金」等
 事業目的の場合は「商事債務」となりますので、商事債権の時効期間と
 なり、5年となります。
旧法での説明です。 新法では「商事債権の消滅時効(商事時効)」という考え方は廃止されました。
しかし新法においても債権者が貸金業者や銀行のような会社組織であれば、権利を行使できる時を知らないはずがありませんので、その場合ほとんどの債権は5年経過により消滅時効が完成すると考えて良いでしょう。

新法では個人以外の場合は、たいてい5年で時効が完成する場合が多いでしょう。
個人の場合は、個人債権者が権利を行使できることを知った時から5年、権利を行使できるときから10年となります 

 例:個人間でお金を貸したけれど、返済期日を「借主の出世した日(課長に昇進した日)」と定めていて、貸主が借主の出世した日を知らない場合は、借主が出世した時から10年で消滅時効が完成しますが、10年経過する前に貸主が、借主の会社に電話して借主の出世(課長に昇進)を知った時は知った時から5年となります。
5年経過する前に借主が課長になってから10年経過していた場合は、その時点で消滅時効が完成となります。)

時効の援用とは
時効の援用とは、時効によって利益を受ける者が(援用権者)が時効の成立を主張すること。
時効による権利の取得・消滅は期間の経過により自動的に発生するものではなく、援用があってはじめて確定的に取得の権利が生じたり、権利が消滅する。

    

           

           

           

           

   消滅時効詳細

消滅時効について、更に詳しく知りたい方は、当事務所債務整理専門サイトの「消滅時効 解説」をご覧下さい

           

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