相 続 Q&A7 

相続財産(遺産)の範囲
相続税の課税対象財産の範囲

           

相続についての法律手続やよくあるトラブルや疑問に具体事例を用いてわかりやすく解説します。

相続人が承継する被相続人の相続財産(遺産)の範囲は?
相続財産に含まれない財産とは?
相続財産(遺産)と相続税の課税対象となる財産との相違
相続財産に含まれないが、相続税の課税対象となる財産とは?

具体的に個別の財産を挙げて範囲についてわかりやすく解説します。

相続Q&A>Q&A7

           

 

 Q7

私の父が亡くなりました。
父の残した財産はすべて相続財産と考えてよいのでしょうか?
また年金や保険、死亡退職金等はどうなるのでしょうか?

 

           

A7

相続財産には以下のものが該当します。

以下の財産は相続開始時点でお亡くなりになった人(被相続人)名義のものであることを前提に説明しています。

           

相続財産となる財産 相続税の対象となる財産 
     
 亡くなった方の名義の財産 相続財産となるか 相続税の対象となるか
     
    不動産  なる  なる
  預貯金・現金  なる  なる
  有価証券  なる  なる
  会員権  なる  なる
  債権・債務  なる  なる
  果樹、立木、  なる  なる
  特許権・著作権  なる  なる
  借地権・借家権・  なる  なる
   地上権その他の権利
 自動車、船舶、家畜        なる  なる
 動産(家具,家電品その他)
     
 (亡くなった方が保険の契  ならない  なる
 約者)生命保険金
 死亡退職金  ならない  なる ※1
 相続開始前3年内の  ならない  なる ※2
 生前贈与
     
 祭祀財産  ならない  ならない
 未支給年金  ならない  ならない
 香典  ならない  ならない
 遺骨  ならない  ならない
 遺族年金  ならない  ならない

           

※1 支給金額が死亡後3年以内に確定、または生前に退職していて支給金額が
   死亡後3年以内に確定した場合

※2 贈与税を納付していた場合はその分、減額されます。         

1 法律上の相続財産であり、かつ相続税法上の相続財産(課税対象財産)である   もの

(1) 不動産

お住まいの居宅やその敷地の名義がお父様名義になっていれば、相続財産となります。

もちろん、ご自宅以外でもお父様名義の土地や建物、山林等があれば、相続財産となります。

(2) 預貯金・現金

なります。

(3) 有価証券

株式(上場・非上場)や国債、割引債、社債、貸付信託、投資信託等の有価証券も相続財産となります。

(4) 会員権

ゴルフ・レジャー会員権、預託金証書(退会時に返還することを約束してゴルフ場に預けた金銭の証書)も相続財産となります。

また、ゴルフ場運営会社によっては、会員権の相続が認められないと会則に定めている場合があります。

その場合は、会員権は相続できませんが、預託金等があれば預託金返還請求権(預託金を返還するよう求める権利)を相続することになります。

(5) 債権・債務

被相続人が他人や会社に貸した貸付金や事業上の売掛金等の債権も相続財産になります。

また金銭以外の物を貸している場合に返還請求権も相続の対象となります。
(賃貸借契約の場合賃貸人の地位も相続されます)

また、プラスの財産ではありませんが、借金等の債務も相続の対象となります。

借金等のマイナスの財産がプラスの財産よりも多い場合、「相続放棄」をすることにより、マイナス財産を承継しないことも可能です。

(6) その他の財産

    相続財産となるものは、他に以下のものが該当します。

  • 果樹、立木や竹木、無体財産権(特許権、著作権等)
  • 民法上の権利(借地権、借家権、地上権その他の権利)
  • 自動車、船舶、家畜、動産(家庭用や事業用含む)その他

           

2 法律上相続財産には含まれないが、相続税法上の課税対象となる財産

           

(1) 生命保険金

法律上、生命保険の保険金は、契約で指定されている受取人の固有財産となり、相続財産ではありません。

よって、遺産分割の対象財産とはならず、相続人が相続放棄をしても受取人になっていれば受け取ることができます。

注意したいのは、生命保険金は相続税法上は「みなし相続財産」となりますので、相続税法上、相続財産の課税価額に算入します。
(相続人が受取人になっている場合)

(2) 死亡退職金

死亡退職金とは、会社の社員が在職中又は退職後に死亡した場合に、会社から遺族に支払われる退職金のことです。

死亡退職金は、一般的に相続財産に含まれないと考えられる場合が多いです。

相続税法上は、原則「みなし相続財産」となり、相続税法上、相続財産の課税価額に算入します。

死亡退職金がみなし相続財産となり課税対象となるのは下記の場合です。

  • ア 死亡退職で支給される金額が被相続人の死亡後3年以内に確定したもの
  • イ 生前に退職していて、支給される金額が被相続人の死亡後3年以内に確定したもの

  その他、みなし相続財産には、定期金に関する権利、遺言で示された経済的権利等があります。

(3)相続開始前3年内の生前贈与の財産

相続税の課税財産に算入します。

贈与税を納付していた場合は、減額されます。

           

3 相続財産にならず、相続税法上の課税財産にも該当しないもの

           

(1) 祭祀財産

墓地や仏壇等の祭具の祭祀財産は遺産ではありません。(民法897条)

また相続税法上の課税対象財産ともなりません。

香典や遺骨も同様、遺産となりません。

(2) 被相続人に対する未支給の年金

被相続人が死亡するまでの間に発生したが未支給の年金がある場合、当該年金は遺族(国民年金については国民年金法19条で定められた遺族が請求できる)が固有の権利として請求するものであり、(民法上の)相続財産に該当せず相続税の課税対象にもなりません。(一時所得となります)

(3) 遺族年金

年金を受給していた人が死亡したときに遺族に支給される「遺族年金」は遺族の固有の権利として支給されるもので相続財産に該当せず相続税の課税対象にもなりません。(原則所得税も課税されません)

           

相続財産(遺産)の範囲についてご不明の事項があれば、当事務所問い合わせまでご相談下さい。

           

相続とは

相続とは、亡くなった方(被相続人といいます)の財産や権利・義務について承継することです。

財産等を承継する人(相続人といいます)は、民法で定められています。

被相続人の一身に専属したものは相続財産に含まれません(民法896条)

相続において(場合によって)必要となる各種法律手続や用語については「相続手続」をご覧下さい。

相続の流れについては「相続の流れ」をご覧下さい。

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