遺産分割協議

遺産分割協議とは、相続人全員が話し合い、被相続人(亡くなった人)の遺産の割合を決めることです。相続人全員の合意が必要です。

被相続人が死亡して相続が開始されると、民法で定められた法定相続分で各相続人の相続財産の割合が決まります。

しかし、相続人全員の合意により法定相続分とは異なる割合で相続分を決めることができるのです。

法定相続割合

 法定相続分は民法で定められています。

現在の法定割合は、昭和55年の民法改正により定められたもので、昭和56年の相続に適用されます。

 ( 昭和56年1月1日以降の相続)

第1順位  配偶者と子     配偶者 1/2  子   1/2

第2順位  配偶者と直系尊属  配偶者 2/3  直系尊属 1/3

第3順位  配偶者と兄弟姉妹  配偶者 3/4  兄弟姉妹 1/4

遺産分割協議でのこういう場合にどうするの?

 

相続人の中で遺産分割協議の話し合いに応じない人がいる場合

遺産分割協議は相続人全員の合意で有効に成立します。
よって一人でも話し合いのテーブルについてくれないと協議自体が始まらず、話あいに応じない人を除外してなされた遺産分割協議は無効です。

その場合には、家庭裁判所に遺産分割の調停を申し立てることが有効な手段です。
調停とは話し合いにより、お互いが合意して紛争の解決を図ることです。

話し合いに応じない相続人が調停の期日を欠席して、調停にも応じない場合は、審判を申立て、最終的に裁判官に遺産分割を決定してもらうことが可能です。

相続人間の協議で話が合意できない。

相続人間での協議で、話し合いが平行線で、合意に達することができない場合 家庭裁判所に遺産分割の調停を申立て、調停でも合意に至らない場合、審判を申し立てることにより解決を図ることができます。

相続人の中に行方不明者がいる。

相続人中に行方不明者がいる場合、家庭裁判所に「不在者の財産管理人選任」の申立てをすることにより、不在者の財産管理人を選任してもらい、管理人が不在者の代わりに遺産分割協議に参加することで有効な遺産分割協議ができます。

不在者の財産管理人が選任されるまで、3ヶ月から6ヶ月の期間がかかります。

相続人の中に判断能力がない者がいる場合

相続人中に認知症等で判断能力に支障のある人が存在する場合、家庭裁判所に「成年後見人選任」の申立てをおこない、選任された成年後見人が判断能力の無い方に代わって遺産分割協議に参加することで有効な遺産分割協議を行うことができます。

成年後見人が選任されるまで、2~3ヶ月の期間がかかります。

相続人の中に未成年がいる場合

未成年が遺産分割協議に参加してなされた遺産分割協議は有効とはならないので、未成年の法定代理人が未成年に代わって遺産分割協議に参加することになりますが、法定代理人は、通常未成年の親が就任しますが、親も相続人の場合(夫が死亡し、妻と夫婦間のこの中に未成年の子がいる場合)利益相反と言って「ある行為が一方には利益となり、もう一方には不利益となる」ことになります。

その場合には、家庭裁判所に「特別代理人選任」の申立てをしなければなりません。

特別代理人が未成年の代わりに遺産分割協議に参加して有効な遺産分割協議となります。

また、相続人中に複数の未成年がいる場合は、それぞれに個別の特別代理人を選任してもらわないといけません。一人の特別代理人が複数の未成年の代理人となることはできません。未成年間でも利益相反の関係があるからです。

           

遺産分割調停・審判手続きについて
調停手続きや審判手続きについて詳しくお知りになりたい方は「調停・審判手続き」をご覧下さい。
調停。・審判の内容や申立ての方法について解説しています。

           

相続財産と遺産分割協議の対象となる財産

遺産分割協議の対象となる財産は原則相続財産ですが、相続財産であっても遺産分割協議の対象とならない財産があります。

相続財産と遺産分割協議の対象となる財産

     
 亡くなった方の  相続財産と  
 遺産分割協議の対象 
 名義の財産   なるか   となるか
       
 可分債権(預貯  
 金、国債等を除 
 く)
 なる  ならない
      なる
 預貯金・現金   なる    ※最高裁平成28年
     12月19日決定
  債務   なる  ならない
      なる 
 国債・投資信託  なる  ※最高裁平成26年
     2月25日判決
 株式・有価証券  なる  なる
 相続財産とならな  ならない  ならない
 い財産
 相続開始後発生  ならない  ※3
 した天然果実※1
 相続開始後発生した  ならない  ※4
 利息、家賃等※2
※1 被相続人の財産である樹木から発生した果実
   (例:柿の木に実った柿)
   農家でミカン、りんごを栽培、多額の代金が入る →実益あり
※2 法律用語では法定果実といいます。
被相続人の財産であるアパート等賃貸物件で発生した家賃や貸付金の利息  
※3 法律的には対象とならないが現実には遺産分割の対象となっている。
※4 同上

過去、預貯金については最高裁の判例で「預貯金は可分債権であり、相続開始と同時に相続割合が決まるので、遺産分割協議の対象とならない」とされていましたが、 平成28年12月19日最高裁決定により「預貯金は遺産分割の対象となる。」 と変更されました。

また、同様に「国債・投資信託」も「遺産分割協議の対象にならない」とされていましたが、これも平成26年2月25日最高裁判決により、「遺産分割協議の対象となる」と変更されました。

           

遺産分割協議Q&A

           

相続人の中で認知症の方や判断能力が不十分な方がいた場合

→成年後見Q&A「遺産分割協議」をごらんください。

遺言書の内容と異なる相続割合により相続することは可能でしょうか?

相続Q&A5」で解説しています。ご覧下さい。

遺産分割協議の成立後に、相続人の存在が判明した場合、遺産分割協議の有効性はどうなるのか?

について解説しています。「相続Q&A9」をご覧下さい。

一定の期間、遺産分割をしないこととすることはできるのか?

相続Q&A10」で解説しています。ご覧下さい。

遺産分割のやり直しをすることはできるのか?

相続Q&A12」で解説しています。ご覧下さい。

遺産分割協議の対象の範囲について

相続Q&A13」で解説しています。ご覧下さい。

労働問題

債権回収

相続問題

法定後見・任意後見
成年後見

建物明け渡し

消費者問題

裁判手続き

不動産問題

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